「仕事も子どもも大切にしたい」私が週3パートから理想の働き方をつくるまで

「仕事も育児も、きちんと両立しなければ」
「周りに迷惑をかけずに働けるだろうか」
「キャリアを諦めたくないけれど、子どもとの時間も大切にしたい」
育休からの復帰を考えるとき、そんな思いの間で、揺れる方は少なくないと思います。
私もその一人でした。
三重県桑名市で出張産後整体Karunaを運営している植田なおです。
現在、私は理学療法士として産婦人科で勤務をしながら、フリーランスとしても働いています。どちらの仕事でも、産前産後の女性をサポートしています。
今は、自分が本当にやりたかった仕事に携わり、大きなやりがいを感じています。
けれど、最初から今のような働き方ができていたわけではありません。
私の復職は、週3日の訪問リハビリの短時間パートから始まりました。
子どもの成長や家庭の状況に合わせて、自分の思いを確かめながらその都度できることを考え、少しずつ仕事の幅を広げてきました。
そろそろ育休からの仕事復帰に向けて不安を感じている方の参考になるよう、一つの事例として
今回は、私が「仕事も子どもも大切にしたい」という思いに向き合いながら、自分なりの働き方をつくってきた過程とフレームワークをご紹介します。
出産後も、フルタイムで働くつもりだった

12年前・・第一子を出産したころの私は、フルタイムで復職することしか考えていませんでした。
8年間やってきた理学療法士の仕事が好きでしたし、出産後も以前と同じようにしっかり働きながら、子育てもできると思っていたからです。私の母がずっと仕事してきた姿を見て育っていたのでできるものだと思っていました。
ところが、育休中に夫のアメリカ駐在が決まりました。

家族で渡米し、そこから約5年間、私は仕事を離れて娘と過ごしました。
日本を離れること、仕事から離れることへの不安や焦りは常にありました。
その一方で子どもとじっくり向き合う時間を過ごしたからこそ、子どもの安心や健康、成長をそばで支えることの大切さにも気づくことができました。
仕事に戻りたい。
でも、子どもとの時間も大切にしたい。
以前の私なら、「両方とも全力で頑張ればいい」と考えていたかもしれません。しかし、帰国後の生活は、それほど単純ではありませんでした。
頼れる人が近くにいない中での復職
第二子をアメリカで出産し、生後6ヶ月になる頃の2020年に帰国しました。
コロナ禍真っ只中での帰国でした。
以前住んでいた三重県に戻れたものの、近くに頼れる親はおらず、友人もほとんどいません。
支援センターは時間制限や人数制限を求め、母親同士が交流するようなイベントは全て行われいませんでした。
夫は仕事で責任が増えており、平日の家事や育児は、私が中心にならざるを得ない状況でした。
それでも、もう一度私も働きたいと思いました。
社会とつながりたかった。
好きな理学療法士の仕事に戻りたかった。
そこで2021年、第二子が1歳になるタイミングで、週3日のパート勤務から復職しました。
最初はもっと働けると思っていましたが、優しい上司が「慣らし保育とかあるんじゃないの?」「はじめから17時半まで働いて大丈夫?」とアドバイスをいただいて、まずは今の家庭で無理なくできる形から始めることにしたのです。
今思う返すと本当に何もわかっていなくて、そのアドバイスがなかったらすぐに働くことが辛くなっていたと思います。
「パートなんだから休めるでしょ」と言われて

復職したばかりのころは、下の子がまだ小さく、よく体調を崩しました。そのたびに、私は仕事を休まなければなりませんでした。
夫に相談しても、
「俺は休めないよ」「パートなんだからどうにかならないの?休めるでしょ?」
と言われたこともありました。
夫にも仕事上の責任があり、簡単には休めない事情がありました。夫の立場も理解していました。
それでも、私も一つの仕事として責任を持って働いています。「パートだから休んでも大丈夫」と受け取れる言葉は、正直つらいものでした。
職場は、休みの連絡を快く受け入れてくれました。それは本当にありがたいことでした。
ただ、私が休んだからといって、誰かがそのまま仕事を引き継いでくれるわけではありません。自分の担当部分にぽっかりと穴を開けてしまう感覚があり、申し訳なさを抱えていました。
同じ職場の女性から「子どもが体調を崩したときは、病児保育を利用して出勤していた」と聞いたこともあります。
そこまでして出勤しなければならないのだろうか。
でも、休めば職場に迷惑をかけてしまう。
体調の悪い子どもを預けるのは、かわいそうではないだろうか。
どちらを選んでも、心のどこかに罪悪感が残りました。
祖父母に預けて出勤できる人は羨ましい・・とどうしようもないことでモヤモヤしたりしました。
仕事か子どもか、どちらか一つは選べなかった
私は、子どもが小さいうちに仕事を大きく増やすことはできませんでした。
子どもが不安にならないこと。
寂しい思いをしすぎないこと。
食事や就寝時間が遅くならないこと。
健康と、子ども自身がやりたいことを大切にできること。
これらは、私がどうしても守りたいものでした。
一方で、仕事を諦めたいわけでもありませんでした。
週3日のパート勤務では収入は少なく、責任のある仕事を任せてもらいにくいという葛藤がありました。ただ勤務時間を増やすだけでは、自分が求めるやりがいには近づけないとも感じていました。
「子どもを大切にするなら、仕事を諦めなければならない」
「仕事で成長したいなら、子どもとの時間を減らさなければならない」
そんな二者択一ではなく、両方を大切にできる方法を探したいと思うようになりました。
そこで、改めて考えました。
「私は、どんな仕事がしたいのだろう?」
「今の生活の中で、どうすれば実現できるだろう?」
「今の私にできることは何だろう?」
働く時間より、やりたい仕事を考えた
私は第一子の出産時に産前産後のリハビリテーションに関心を持つようになりました。
アメリカに行く前は日本ではまだまだマイナーな分野で海外の書籍などを読んで勉強をしました。
帰国後は「ウィメンズヘルス理学療法」という分野が確立され、教会や学会ができ勉強会や書籍もたくさん見つけられるようになりました。
この分野で働きたい。
そう思い、改めて勉強を始めました。
そして訪問リハビリで働いていた母体の病院は「産婦人科」と「リハビリテーション科」に力を入れている病院だったため、この病院で自分ができることがあるんじゃないかと、今後取り組みたいことを訪問部門の上司やリハビリテーション科の師長にも伝え続けました。
子どもが小さく、働く時間をすぐに増やせなくても、学ぶことや希望を伝えることならできる。そう考え、その時の自分にできる準備を続けました。
そして2024年、希望していた部署への「産後ケア」の立ち上げスタッフとして異動が決まりました。
決まったときは本当にうれしく、「このチャンスを絶対に形にしたい」と思いました。
病院でできないなら、今できる形をつくる
希望する部署へ異動できたものの、産前産後のリハビリテーションは、病院の中ですぐに実現できるものではありませんでした。
そこで、病院でできるようになるのを待つだけでなく、自分で実現できる方法を考えました。
初めは、産後のママにヨガを教えることも検討しました。その後、出張で産後整体を届ける形にたどり着き、2025年から活動を始めました。
フリーランスで働くことは大変な一面もありますが、時間も自分で調整しやすいため、家族への負担も抑えられます。
そして何より、産後のママにとって必要なサービスだと思ったからこそ、自分の手で届けたいという気持ちがありました。
実際に始めてみると、私自身も楽しく、利用してくださる方にも喜んでいただけました。
その経験を重ねる中で、「このサービスをもっと多くの方に届けたい」と思うようになりました。
週3日のパートから始めた私にとって、フリーランスという選択は、仕事を増やすためだけのものではなく、子どもとの生活を大切にしながら、自分が本当にやりたい仕事を実現するための方法でした。
一度決めた働き方に、自分を合わせなくていい
私は、復職するときに決めた働き方を、そのままずっと続けてきたわけではありません。
子どもの様子や体調を崩す頻度、習い事の送迎時間などを見ながら、およそ1年ごとに働き方を見直してきました。
子どもたちが3歳を過ぎるころから、以前ほど頻繁に体調を崩さなくなりました。手をかけなければならない場面が少しずつ減ったことに合わせて、私も働く時間を増やしていきました。
2026年現在は、パート勤務が週20時間、フリーランスの仕事が週20時間ほどです。
パート先では、私以外のスタッフが2名増え、みんな子育て中の女性です。休みやすくなるように、特定の人にしかできない仕事を減らし、みんなで支えられる体制づくりや教育に取り組んでいます。
復職したころに感じた「自分が休むと仕事に穴を開けてしまう」という苦しさが、今の仕組みづくりにつながっています。
フリーランスの仕事は、自分で時間を調整できます。限られた時間でも収入につなげやすいため、子どもの予定に合わせながら続けることができています。徐々に働く時間が増えた分、家族と過ごせる時間も以前より少なくなりました。
それでも、限られた時間を家族で大切に過ごせていると思います。
そして今、二つの働き方を通して、産前産後のママを支援するという、自分が本当にやりたかった仕事ができています。
仕事も子どもも大切にしながら、「今の私にとって、このバランスがいい」と納得できる働き方を何度も何度も修正しながら進んでいくことが大切です。
振り返ると、4Cを考え続けていた
これまでの選択を振り返ってみると、私はその都度、次の4つを考えていたことに気づきました。
Care|守りたいもの
私が守りたかったのは、子どもの安心や健康、そして子ども自身がやりたいことに取り組める環境でした。
あなただ絶対に守りたいものは何ですか?
Career|仕事で大切にしたいこと
私が仕事で諦めたくなかったのは、やりがいです。
仕事は収入を得る手段であると同時に、私にとっては社会とのつながりであり、自己実現でもありました。
Constraints|今ある制約
夫が平日の育児に参加しにくいこと、近くに頼れる人がいないこと、子どもの体調不良や習い事への対応など、自分の努力だけではすぐに変えられない条件がありました。
制約を嘆いて諦めるのではなく、今ある制約の中で「どうすればできる?」と考えることを諦めない。
Choices|今できる選択
最初から理想をすべて実現しようとせず、まずは週3日のパートから始めました。
・週3パートで週18時間
・週3パートで週24時間
・正職員
・転職
この4つを家族の生活の安定、自分の健康、やりがい、キャリアへの影響、収入、続けやすさなどで評価して今のベストを選んでいきました。
その後、学び直し、部署異動、個人事業という選択肢を増やしながら、子どもの成長に合わせて働き方を変えてきました。
私は、この4つの視点を常に持って行動をしていました。
ぜひ一度4Cを書き出してみてください。
頼ることも、理想の働き方をつくる一歩

今振り返ると、もっと外部のサービスや人に頼る方法を考えてもよかったと思います。
当時は、利用できるサービスをあまり知りませんでした。コロナ禍で人とつながりにくかったこともあり、「家事や育児は自分がやるべき」「簡単に人を頼ってはいけない」と思い込んでいました。
けれど、仕事も子どもも大切にするために必要なのは、一人ですべてを抱えることではありません。
家族や職場と話し合うこと。
利用できる制度やサービスを探すこと。
人に任せられることを増やすこと。
誰かが休んでも支え合える仕組みをつくること。
こうした工夫も、自分と家族を守り、理想の働き方に近づくための大切な選択肢です。
理想の働き方は、少しずつつくっていける
育休からの復帰には、誰にでも当てはまる正解はありません。
フルタイム、時短勤務、パート、フリーランス。どの働き方を選ぶかだけで、納得できるかどうかが決まるわけでもありません。
大切なのは、自分が何を守り、仕事で何を大切にしたいのかを知ること。そして、今ある制約の中で、自分が納得できる選択を重ねていくことだと思います。
人と比べて落ち込んだり、変えられない制約を理由に諦めかけた時、私はこの3つを自分に問いかけてきました。
「私はどうしたい?」
「どうすればできる?」
「今の私にできることは?」
「わたしはどうしたい?」に蓋をする方も多いのではないかと思います。
昔からよく「あなたみたいには生きられない」と友人を怒らせた私ですが、自分の人生だから「わたしはどうしたい?」よりも大事なことなんてあるのか?とすら思って生きてきました。
これはわがままになれとか自己中になれとか子供のことはほったらかしで好きなことをしたらいいと言っているのではないことはご理解くださいね。(ご理解いただけていると思いますが・・)
今選んだ働き方を、一生続ける必要はありません。
家族の状況も、子どもの成長も、自分が大切にしたいものも変わります。そのたびに立ち止まり、働き方を選び直してよいのだと思います。
私も、週3日のパートから始めました。
すぐに理想を実現できなくても、今できることを一つずつ積み重ねれば、仕事も子どもも大切にできる、自分なりの働き方に近づいていけます。
理想の働き方は、どこかに用意されているものではありません。
その時々の自分と家族に向き合いながら、少しずつつくっていくものなのだと思います。
復職を前に迷っている方も、すでに働き始めて「このままでいいのかな」と感じている方も、自分なりの答えを見つけるきっかけにしていただけたらうれしいです。
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三重県桑名市周辺/出張産後整体Karuna 代表 植田なお
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